日本とカナダの職場環境と雇用主責任の違い
先日、NHKのニュースで、
聞こえるのに 聞き取れない 仕事に影響も
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191215/k10012215661000.html
という特集を見ました。
冒頭には、
”音としては聞こえるのに、話の内容がうまく聞き取れない「聴覚情報処理障害」=APDと呼ばれる症状があります。専門家が過去14年間に診察した患者を分析したところ、「耳だけで指示を理解するのが難しい」という患者が半数以上で、仕事のミスが相次いで受診するケースが増えていることが分かりました。”
”聴覚情報処理障害=APDは、聴力は正常でも街なかなど雑音の多い場所では、一般の人が聞き取れる音や声が聞き取れなくなる症状です。”
”「電話の対応が難しい」、「注文を聞き取れない」など、仕事でミスが相次いで受診するケースが多く、20代や30代の人が増えているということです。
また、会議などで「複数の人との会話が難しい」という人も10.5%に上りました。”
この特集で取り上げられた方のケースでは
”勤めていた建設会社では得意先からの電話の内容が聞き取れず、何回も聞き返したり時には、上司に用件を取り次げなかったりするなどミスが相次ぎました。
会社を退職し、今は電話対応のある仕事を避け、障害のある人の支援にあたっています。
石田さんは「聴覚情報処理障害という症状を最近まで知らず、仕事にも支障が出て、ずっと悩んできました」と話していました。”
障害の一つのようですが、この障害をめぐって日本とカナダの職場、雇用主の考え方について考えました。
ポイントは
”会社を退職し、今は電話対応のある仕事を避け、障害のある人の支援にあたっています。”
日本では、本人が同僚、上司、職場に気を使い、迷惑をかけるからと自ら退職することが美徳と見られます。確かに日本人らしい気もしますが、なにかおかしい気がします。
カナダは、障害者を含め雇用に差別は厳禁です。雇用している社員が、障害となった場合には、雇用主はその障害に対して、職種を変える、雇用したまま治療に専念させるなど雇用主として対応する義務があります。
障害の定義も広く、このような病的な障害、身体的な障害はもちろん、アルコールや薬物中毒なども障害と見なされます。
このケースがカナダで起きた場合、本人が退職する必要はなく、雇用主がその責任として、職種を変え、勤務体系を変え、治療を受ける対処をすることになります。逆にそのような対処を取らないと訴えられる可能性が高く、本人への賠償以外にも、雇用主へのペナルティとして莫大な金額を課されることになる可能性が大です。
ここカナダでも日系企業が対応を誤り、ペナルティーを課せられたケースがあり、今でも有名な判例としてケーススタディーで取り上げられます。
日本とカナダの雇用にはそれぞれよいところがありますが、カナダの場合、法が従業員を守るという姿勢が一貫していますので、雇用主は大変です。
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